自毛植毛の歴史。再生医療の原点を垣間見る「植毛の物語へ」・・・

植毛のはじまり

頭髪や頭皮を移植するという技術が最初に試みられたのは、19世紀末のこと―1893年に、ドイツの外科医が頭髪の移植を実施したのがそのはじまり―だといわれています。ヨーロッパは、何百年もの間大規模な戦争が多かった土地ですが、負傷兵の治療にあたっては皮膚を移植する医療技術もさかんに取り入れられていました。その過程で皮膚移植の手術も発展を繰り返し、ついに頭髪まで一緒に移植するという方法が考案されたのだろうと考えられています。

自毛植毛の概念=1960年代

黎明期の頭髪移植方法に「パンチ式植毛法」があります。 実はこのテクニックを考案したのは日本人の医師でした。皮膚科の医師だった奥田庄二医師は1939年に、「パンチグラフト」の手法を発表したのです。この発表は、「自身の 毛を他の箇所に移植する」と言う概念を世にもたらすきっかけとなりました。同時に「頭髪は、移植や再生使用が可能である」という証明がされたことになったのです。

植毛の発展期=1970年代

1970年代前半に「フラップ法」が開発されました。薄毛の場合でも、側頭部には比較的多く頭髪が残っているものですが、この部位の頭皮を一片(これが「フラップ」と 呼ばれます)だけ、頭髪といっしょに切り取って、頭髪が少なくなった部位に移植する方法です。フラップの切り出し方もさまざまな方法が考案されたのですが、どの切り 出し方法をもってしても、血流がスムーズに循環させることが容易でなく、せっかく張り合わせたフラップが壊死する危険性を否定できないことが弱点だったといえます。 70年代後半に入ると、「スカルプ・リダクション法」が開発されます。こちらが切り取るのは、頭髪が多く残っている部分ではなく、頭髪が少なくなってきた部分です。 髪が減ってきた頭皮を切り取って、その周囲のまだ頭髪が多めに残っている頭皮を引き伸ばすことで、薄毛の部分を最小限に抑えるという方法で、当時は画期的な手法と して知れ渡りました。

自毛植毛術の進化=1990年代

1990年代に入ると、自毛植毛技術の開発や推進に関わる医師や研究者の数も増大します。ただ頭髪と頭皮を移植するだけではなく、仕上がりの美しさも追求されるようになり、さまざまな方法が開発されました。(たとえば、生え際の美しさをもたらすために、頭皮を細かな単位で移植する技術が取り入れられ、グラフトもミニグラフト、さらにマイクロ(ミクロ)グラフトへと進化を遂げていきました。

自毛植毛術の進化=1990年代

現在の日本では、薄毛の悩みを解消するための手段はいくつもありますが、頭髪を再生させることを目的とした医療行為となると、1.薬を服用する医療行為(内科的方法=プロペシアという処方が医療行為としては認められています。)と2.頭髪・頭皮を移植する医療行為(外科的方法=頭髪が薄い部分に自毛を移植する施術)があります。 現在の自毛移植はかつてと比べると飛躍的にレベルアップしています。以前普及していた自毛植毛方法の中には、決して満足度の面では高くない方法も含まれていましたが、近年の技術の発達は目覚ましいものがあります。リスクを回避して確かな効果のある自毛植毛方法を堪能できる時代が訪れているといえるでしょう。